2024年10月28日月曜日

いつまでも勉強



一級建築士となって15年ほどが経ちましたが、本当にいつまで経っても自分の勉強不足を痛感して落ち込むことがあります。
住宅業界も地球環境保護であったり、安全性の観点から状況はどんどん変わって来ています。
最近求められる性能の一つに耐震等級というものがあります。建築基準法でも求められる耐震性能以上に確保することで、より一層の安全安心を担保するものですが、現在工事着工中の住宅でも当たり前のように、耐震等級3、断熱性能6、を取得するつもりで設計を進めていましたが、結論耐震等級3は取得が厳しいという現実にぶつかりました。
ここが本当に僕自身の勉強不足に尽きます。
耐力壁などの配置計画は十分ですが、最近オリジナルでやっている大空間を実現させる鋼製ブレスを使った梁が、どうにも計算に入れる土俵に無いということです。
ある程度教科書的な工法、使用建材による設計になってないと計算にかけられない(選ぶ数字がない的な感じです)のです。
内容は専門的になり、長くなってしまうのですが、何しろ非常にショックでした。
こんなことも未だに僕は知らなかったのかということに凹みましたが、これを機にどういう理屈、計算方法なのかもう一度勉強しました。
お客さんには本当に申し訳ない気持ちですが、決して弱い構造でないことは確信を持っています。
そしてここで得た知識を今後の設計に生かし、僕がオリジナルでやっている工法も少し広く海外も見渡せば、そう珍しいものでもないので、何か突破口があるのではないかと今後の課題でもあります。
ただこの辺りの計算基準は大手建材メーカー、大手ハウスメーカー主導で、建主というよりは業界がやりやすい仕組みにお客さんが付き合わされているように感じてしまい少し憤りを感じるのが正直な気持ちです。
 

2024年10月4日金曜日

自然環境から守る建築

 この夏、少し長くお休みをいただいて家族で北海道旅をしてきました。

長女が小6、次男が年長、こんなことをできるのも最後かもしれないとの思いから計画していました。2週間ほど、車で移動、宿は基本的にキャンプのスタイルです。

行きは本州を陸走、青森よりフェリーで函館へ、北海道をだいたい反時計回りするような感じで小樽よりフェリーで新潟(妻実家)へ帰ってくるというプランです。

さまざまな素晴らしい景色や、野生動物にも会うことが出来ました。

しかし今回は建築に関連した感想として思ったことを書きたいと思います。

毎日移動し、テント泊。遊牧民状態です。その間にも天気や気候も変化します。

函館と知床ではまるで気候が違います。ちなみに知床では8月なのに最高気温20℃、最低気温12℃なんて日もありました。人が感じる快適な空気環境には温度だけでなく湿度が大きく関係します。

現在使っているキャンプ用のテントも本当によく出来ていて、軽量で丈夫で組立撤収も容易です。室内の空気を通風させるベンチレーションもよく出来ています。

そんな良品なテントでも寝室となる室内は湿度が上がり、それに加えて気温の変化があり、暑くて寝苦しい日もありました。一方低温多湿もまたイマイチなのです。

一番思ったことはエアコンって最高だなってことです。ただ温度を調整するだけでなく湿度も調整してくれる空調というのはテント生活を思うと天国です。

ましてや建築では断熱もされ、キッチンや浴室、トイレもあります。本当に当たり前すぎることなんですが、その快適さは自然環境の中ではあり得ません。

極端な山岳や、強風の沿岸のような環境じゃなくても、どこにでもある自然環境というものでさえ丸腰の人間が生きていくにはあまりに厳しいんだな、と思わずにはいられませんでした。

当たり前にある建築ですが、そこに供給されるエネルギーも含めると本当に様々な技術の結晶で、それらに守られて生きていることは間違いありません。

安心安全な生活という土台の上で、初めて+αの人生を考えることができるんだと思いました。

子供たちにとっても何かこの経験が残ってくれたら嬉しいです。

知床五湖




マッコウクジラウォッチング



釧路湿原
テント組立撤収も日に日に早くなります
えりも岬






僕は毎日のように早朝、いろんな場所をランニングしました。




岐阜の家さらに終盤

あまりに長かった家具類工事もついに終わりを迎え、現場にて取り付けも完了し、合わせて設備器具の取り付けも終わり、ほぼ完成に近づいてきました。というか先日完了検査及びフラット35検査も無事に終わったので住宅としては完成していることになります。 あとは最終チェックやクリーニングとなりま...